透析液は、*RO水を用い、水に含まれる様々な不純物、重金属をはじめ細菌やウィルスまでを全て取り除き、*ポジダインフィルターを経由し最終的にエンドトキシンカットフィルターを用いて透析液を作製し、安全に透析が出来る様、透析液作成用水(RO水)・末端部透析液を毎月定期的検査実施し厳重に管理しております。
半透膜に浸透圧と逆らう形で大きな圧力をかけることで「逆浸透」をおこさせる技術のことで、RO水はこの逆浸透膜(RO膜)でつくられた水のことをいいます。
RO膜には、水に含まれる様々な不純物、重金属をはじめ細菌やウィルスまでを取り除く高い除去能力があり、開発当初は、半導体の洗浄や人工透析用として使用されていました。
現在では、飲料水や加工水原料として大型客船の飲料水、海水淡水化プラントをはじめ、清涼飲料水や酒類の原水としても世界的に活用されています。
水中のほとんどの微粒子・細菌・ウィルス・エンドトキシンなど、メンブレンの除去機能」に加え、
「静電吸着機能」により、その定格ろ過精度よりはるかに小さい異物を除去できます。
現在存在するほとんどの細菌(バクテリア)はグラム染色によって、次の2つに大別できます。
グラム陽性菌(グラム染色によって青紫色に染まる細菌)
とグラム陰性菌(染料が洗い流されてうすい赤色になる細菌
)それぞれの細胞の構造を示します。
これらの細菌はそれぞれに固有の毒素をもっており、微量でもヒト生体に不利な反応を引き起こします。
この毒素には以下の2つの種類があり、その特徴については表1をご覧ください。
表1.外毒素と内毒素との性質比較
外毒素(エキソトキシン) |
内毒素(エンドトキシン) |
・ ほとんど発熱性はない |
・ 強い発熱性がある |
・ 毒作用が強力である |
・ 毒作用が比較的弱い |
・ 熱により失活しやすい |
・ 耐熱性がある |
・ ホルマリンで無毒化される |
・ ホルマリンで無毒化されない |
・菌体外毒素(エキソトキシン:exotoxin)
細菌が生育中に産出し、体外に分泌してくるもの。グラム陽性・陰性を問わず存在する。
・菌体内毒素(エンドトキシン:endotoxin)
グラム陰性菌が死んで溶菌するときや破壊されたとき、また分裂するときに遊離してくるもの。
生育中は菌体内に蓄積され放出されることはない。グラム陽性菌には存在しない。
・エンドトキシンの構造(糖鎖の解離程度により大きさが異なる)
糖質、リピドA
エンドトキシンが透析液に混入していると、透析膜を通過してヒトの血液に入り悪寒や発熱、低血圧や眠気などの急性反応を引き起こす。
正常人の血中エンドトキシン濃度は25EU/L以下を正常とすることが知られている。
また現在透析液のエンドトキシン安全基準値として定められている最大許容量250EU/Lでは、患者に発熱は起こらない事が確認されている。(但し慢性毒性を考慮しない)
この濃度を超えエンドトキシンが多量に血液内に入ると、先に述べた急性反応を引き起こし、さらにはエンドトキシンが他の菌体成分と相乗効果を起こしエンドトキシンショック(ETショック)を招いて致死作用を増強する。
<参考文献>竹沢真吾「透析液エンドトキシンがよくわかる本」東京医学社